みなさん、こんにちは。今回は、当社において工場設備を中心に工場全体をコントロールする言わば「生産ラインの指揮官」のような役割を持つ生産管理課からの投稿です。設備に関する詳しい内容となっていますので、最後までお楽しみください。
先日、つくば工場において、ナウターミキサー自動洗浄機用洗浄水圧送ポンプの交換・据付を行いました。
さて現在稼働中のこのポンプですが、運転を開始する際、稼働(数秒)→停止(空転)→稼働(連続)という挙動をします。なぜこのような挙動をするのか不思議がる声もありますので、この場を借りて説明させていただきます。上記の挙動には圧送ポンプのモーター始動方法が関わっています。スターデルタ始動(Y―Δ始動)と名前がついているものです。
Y―Δ始動とは何かというと…
1.始動時はY結線として始動電流を抑えて起動し、
2.ある程度運転したのちにΔ結線に切り替えて連続運転するというものです。
※切替用マグネットスイッチは右下写真参照
この始動法が直入れ始動(最初からΔ結線で始動)よりも良い点は、上記の通り始動電流を抑えられることです。具体的にはY結線のあいだ、始動電流と始動トルクが直入れ始動時の1/3となります。一般に、直入れ始動時のモーター始動電流は定格の6倍程度かかりますが、Y―Δ始動では始動電流を定格の2倍程度に抑えることができます。それにともなって、ブレーカなどの設備も直入れ始動時より小さいサイズで済ませることができるのです。
以上がY―Δ始動の概略です。
これを踏まえて運転開始時の挙動を見ると、稼働(Y結線でトルク1/3で始動)→停止(空転)→稼働(Δ結線でトルク100%で始動)となります。
以上でポンプ起動時の疑問点が解決できたら幸いです。